人間の理解を越えるキャベツと鹿の不思議な関係がある!

 

農業をするにあたって、まずは先輩農家さんを参考にさせてもらおうと思って何人にもお会いしました。

自然農法を目指している農家さん、自然栽培や放任栽培をしている農家さん。半農半エックスを実践している農家さん。農薬を批判しない無農薬栽培農家さんにも会いました。

農家さんはそれぞれ目指すスタイルがあり、その実現に向けて日々努力しておられました。

 

 

<わからないことが多い>

 

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農業をやっている人だけでなく、家庭菜園やプランター菜園をしたことがある人なら何度も思うことだと思います。
植物を育てようとしてみると、なぜだかわからない現象がよくあります。
科学が発展したことでわかってきたことが多いのですが、まだまだわからないことが多い。わかったつもりのことはたくさんあるけれど、その場合は人間のうぬぼれであることがほとんどです。

 

<キャベツという野菜>

 

キャベツの起源は地中海地方です。
ケールという野菜がキャベツの祖先です。

140298 / Pixabay

 

そのケールという葉っぱを栽培して、採取を繰り返すことで今の僕たちがよく見るキャベツの形になりました。

alex80 / Pixabay

この玉になったキャベツですが、ケールの変種です。見比べてもわかるように、ケールは結球していません。

それもそのはずで、アブラナ科であるキャベツは中心から芽を伸ばして花を咲かせて受粉して、種ができます。

結球してしまったら芽を伸ばすことができずに次世代へ種を残せなくなります。

つまり、キャベツは、
ケールの中から葉っぱが丸まっていくものだけの種を採って、その種で栽培をするということを繰り返した結果なのです。

 

<自力で種を残すことが難しいキャベツ>

ということで、結球してしまうキャベツは、次世代へ種を残すことができないようになってきました。
そこで人間が、結球したキャベツのてっぺんを包丁などで切ってあげることで、キャベツは中心から芽を伸ばして花を咲かせることができるようになるのです。

人間は結球したキャベツが食べたい。
キャベツは人間にテッペンをカットしてもらうことで種をつけることができる。
つまり、キャベツも人間もお互い必要な存在になったのです。

 

<キャベツを放置しておくと>

そこでキャベツを育ったまま放置してみるとどうなるか試してみました。
すると、キャベツのてっぺんが突然バキッっと割れて、芽を伸ばすことがあります。
強い生命力だなぁと感心しますが、それは一部のキャベツだけです。

その他のキャベツは暑さや寒さや老化によってそのまま畑で朽ちていきます。

 

<わからないけどわかる>

ある農家さんを訪ねた時の話しです。
その農家さんは、自生できる野菜人間が手を加えないといけない野菜を分ける試みをしていました。

その一つがキャベツ。
一般的には先ほども話しましたように種取りをするために人間の手が必要です。
それでもその農家さんは自生できるかどうかを自分で確かめます。

同じようにキャベツは結球して、芽が出せる状況ではありません。
ですが、ある日、鹿がその実験を終わらせるように、キャベツを食べてしまったのです。

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photo by 上粟野通信

ちょうど写真のようにです。

もうおわかりだと思います。
このあとキャベツから芽がでて花を咲かせたのです。

このキャベツは自生する野菜なのでしょうか、そうではないと判断すべきでしょうか。

「自生」という言葉を定義する必要がありそうですね。
少なくとも僕らはキャベツを栽培することに関して、人間とキャベツという2つだけが利害関係者ではないことを知る必要がありました。

 

<コミュニケーションは言語だけではないことを知らされる>

僕らは言語を発達させて、「英語は公用語」、のようにして共通の言葉を使ってコミュニケーションをとるようになってきました。

しかし言語のみのコミュニケーションには限界があると思います。
コミュニケーション「能力」という言葉があるように、客観的に能力を評価するようにもなってきました。
その是非はおいておいて、言語以外の意思疎通もあります。

ましてや言葉を使わない植物や動物の意思疎通は特有なものだと思います。

キャベツが鹿に話しかけたのでしょうか?
シカがなにかを感じ取ったのでしょうか。
はたまた気まぐれでしょうか。


科学のコトバである程度のことは説明できると思いますが、完璧な理解には至らないと思います。農業の世界において僕は、科学のコトバは参考程度にとどめるようにしています。

キャベツとシカのこの関係は科学ではまだ解明できていません。

ですが、わからないけどわかる、という感覚をみなさんは持っていただけたのではないでしょうか。

僕自身が頭の中を言語に支配されてしまいそうなときに「言葉だけですべてを理解しようとしてはダメだ」という戒めになるエピソードです。

読者の方になにかご参考になることがありましたらと思います。

 


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