栽培の話です。
年中通して採れたて野菜を食べたいと思ったときに立ちはだかる壁は端境期と真冬です。
ここ豊田市では、端境期(はざかいき)は7月と10月です。
真冬に野菜の生長はほとんどありませんので、農地さえ確保できれば12月に蒔いておいた野菜を少しずつ収穫していけばよいのです。が、
端境期ではそうはいきません。それは、
苗を育てる時期が野菜の生育適期から大きく外れているからです。
スポンサーリンク
<7月収穫の壁>
では7月に収穫するために、いつ野菜の種を蒔けばよいのでしょうか。
野菜にもよりますが、
夏野菜では2月です。夏野菜なのに2月に種まき?と思いますよね。
一般的な夏野菜の生育適期は、日本では5月中旬から9月末です。
ですので5月に種を露地蒔きするのが一番適しているハズなのですが、
そうすると収穫は8月末になってしまいます。
つまり、収穫期間が1か月しかないのです。
ですので、5月までに事前に苗を育てておくのです。
その方法は、適正温度にするためにビニールハウスなどの加温施設を作ることです。
また、葉物野菜はどうかと言いますと、
暖かくなるにつれて虫が多くなる時期に種を蒔くことになるため、まだか弱い柔らかい苗は食べられてしまいます。
健全な野菜は虫食いがない、と言いますが、幼苗はそういうわけではありません。
では、ダイコンのような根もの野菜は?
同じく暖かくなるにつれて地中の虫も活発に動き始めます。その虫たちに身を食べられることが増えてきます。
地中の水分が温まって蒸れてしまうこともあります。
7月付近に野菜を収穫するというのはこういった難しさがあります。
<10月収穫の壁>
では10月の難しさはといいますと、
種を蒔いたり、苗を作る時期が、日本の酷暑である8月です。
虫が多く、日差しも強く、水の蒸発も早い。昼間だけでなく、夜の気温も高いまま、という環境で、
秋の気候が心地良い野菜たちを育てていくのです。
<それでも定期宅配にこだわる理由>
野良自然農園では定期宅配にこだわっています。
栽培の難しい端境期の野菜もどうにかして出荷したいと考えています。
それは一年中新鮮な野菜を食べることができるようにするためです。
それも同じ場所から採れた野菜をです。
6月は暖かい南方から野菜を取り寄せ、10月は涼しい北方や高地から野菜を取り寄せればよいのかもしれません。
しかし、同じ畑から採れたものを食べ続けることは、
野菜が季節によって変化するように、
身体の調子が冬から夏に、夏から冬に向けてスムーズに変化するための
大切な日常の行いだと思っています。
化学的根拠は知りませんが、僕はそう信じています。
野菜の移り変わりも身体の移り変わりも自然に寄り添う形がいいなと思っています。
スポンサーリンク