昔僕が小さいころは、「スイカの種を食べるとお腹にスイカができちゃうよ」と言われていました。つまりは「食べるな」ということです。
本当にそうなのでしょうか?
<植物にとってのタネの役割>
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そもそも種子植物にとってのタネは、子孫を残すために形成するものです。
太古の昔から脈々と受け継がれてきたものを、同じように次の世代へと送り出すために種をつくります。
その種の目的が、次世代へ命を送り出すということだけかどうかはわかりませんが、植物は種を作り出すために、その瞬間瞬間を生きていることは確かです。
<種に宿された能力>
少し長くなりますがお付き合いお願いします。
その生み出された種は、すべてが生き抜けるわけではありません。
芽を出せなかった種や、腐ってしまう種もあります。
他には、生まれ落ちた環境に適合できなかったり、気候変動によって死んでしまったり。気候変動というと大げさですが、微気象の変化でも大きな影響があります。
そもそも原産地の記憶を残している種が、全然違う環境で生まれ育ってスクスク育つこと自体が奇跡です。
僕が生きていることは奇跡だ!、となんて言ってられません。
種は生き抜く(命のバトンを渡す)ためにいくつかの能力を宿して生き抜ける可能性を高めています。
もちろん人間の科学が及んでいる範囲の話ししかできませんが、
種の一番大きな能力は、眠る能力だと思っています。
これを「種の休眠状態」と言いますが、この不思議な能力を持つ理由を考えてみたいと思います。
世界を見渡しても植物にとって、ほぼまったく同じ気候で一生を過ごせる場所はありません。
日本に四季があることはもちろんのこと、赤道直下の地域やジャングルでも乾季や雨季があります。
そのような変化する環境で種は、「自分が十分に成長できる環境になるまで発芽しないでおこう。」
と考えます。しかしいつ環境が整うかわからない。種の状態を維持するのにも寿命があります。だから代謝を抑えて時がくるまで種の状態をできるだけ長く維持しようとします。
つまり新陳代謝を下げるために眠るのです。
この能力が種に記憶されているのです。
この能力に付随して、
「起きる能力」があります。これを「休眠解除」と言ったりします。
つまり、眠ることはできても起きれなかったら意味をなさないので、いつ起きるか、の条件を設定しておいて、その条件が満たされれば起きるようにしておくのです。
種にとってのその条件は種類によって違います。しかし項目は一緒です。
その項目は、「温度」「光」「水分量」「酸素」の4つです。
例えば、ホウレンソウでしたら、
15℃~20℃の間で光が当たりにくい状態で十分な水分がある中で、酸素も一定量ある環境、
になったら発芽を始めます。
このように、種には、眠る能力と起きる能力を備えることで変化する環境のなかでも生き抜けるようにしているのです。
ですが、一番お伝えしたい能力がまだあります。
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それは、遺伝性と変異性です。
簡単に言うと、
スクスクと育つ方法を記憶した遺伝性と、
過酷な環境でも対応できるようにするための変異性
です。
つまりタネは二つの性質を持っていて、
最適な環境では最高の育ち方ができる能力と、
過酷な環境でも生き抜こうとする能力です。
人間でいえば、
最適な環境を与えられて生き生きと成長する人がいれば、その環境を活かしきれない人もいます。
逆境で開花する人もいれば、打たれ弱い人もいます。
種はその両方の性質を持っているのです。
このような能力を持つことによって、種は次世代への種へとつながっていくのです。
<種を食べるとは、種の能力を取り込むこと>
少し大げさに言います。
よい種を食べることは、種の能力を自分の身体に取り込むこと。
科学的根拠はありません。ただ、こう考えることは不自然ではないと思っています。
食べ物が僕らの身体を作っているので、やはり、食べれればなんでもよい、というふうには考えれません。
野良自然農園では、農薬を使わなくても、虫や病気、雑草にも負けずに生き抜いた野菜をお届けすることをコンセプトにしています。
そのため、当農園では種を食べることも同じように賛同しています。
植物が、種をつくるために自分のすべてをささげていて、その種にも生き抜くための能力を備えている。そんな種はエネルギーたっぷりでないわけがありません。
種を食べたからと言って、種のもっている能力がそのまま自身に宿るとは思いません。しかし、まったく身体に無意味とはどうしても思えないのです。
<食べてもよい種、ダメな種>
ひまわりの種やカボチャの種など食用とされているものは、食べて問題ありません。
問題は、野菜を買ったときについている種。迷いますよね。
スイカは?ナスは?トマトは?
大きく育ったキュウリの種なんかは炒って食べていますし、ピーマンの種もそのまま調理しています。
それはやはり植物一個の全エネルギーがその種に凝縮されていることを考えると食べた方がよいと思っているからです。
食べてはいけない種もあります。
ここはよく注意してください。
当農園で取り扱っている野菜でしたら、現在では、モロヘイヤの種です。モロヘイヤの種には毒素が入っているので食べないでください。
今後配達する野菜で食べてはいけない部分がありましたら同封されている品目説明の紙にその旨を書きますのでご参考にしてください。
<固定種とF1種と雄性不稔について>
なかなか話が長くなってしまいました。固定種やハイブリット種に関してはまた改めてブログにて紹介したいと思います。
今回は、種にはどういった能力が備わっていて、その能力を食べることの是非について書きました。一つでも参考になりましたらと思います。
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