野菜の収穫は早朝・日の出前ということが一般的で、大抵の農家さんたちはそうしていると思います。
僕もその一人なのですが、違った意見を今日は紹介したいと思います。
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目次
<なぜ朝採り収穫なのか>
そもそもなぜ早朝に野菜を収穫しているのでしょうか。
それは日の出前の野菜はみずみずしいからです。
いかにも美味しそうなみずみずしさと輝きがあるので、農家さんもできるだけその輝きのまま出荷をしたいと考えます。
収穫して、出荷規格に調整して、箱詰めして、発送。
この一連の流れをできるだけ早くに終わらせて、いち早くお客さんのところへ届ける。
そうすることでお客さんは収穫直後の野菜のみずみずしさのまま受け取ることができるようになります。
<しなびた野菜には二つの意味がある>
では、みずみずしさを失った野菜はよくない野菜なのでしょうか?
そうとも言えません。
ここでは2つの違った理由を説明します。
① 野菜が老化したことによってしなびた野菜
まずはこれです。ご想像通りだと思いますが、野菜の保存状態が悪いことで時間が経つにつれて野菜の栄養分が失われたり破壊されたりしてしなびてしまいます。
このような野菜は好んで食べたいとは思いませんよね。
② 水分が抜けただけで実は新鮮な野菜
次はこの野菜です。見た目はしなびた野菜なのですが、実は新鮮で、ただ単に水分が抜けているだけの野菜です。
このような野菜もあるのです。
まずはしなびた野菜には見た目では判断しづらい2つの意味があることを理解してください。
<水分が抜けただけの野菜>
この水分が抜けただけの野菜は、収穫するときの環境によります。
雨が降った次の日の野菜は、水分をたくさん含んでいてみずみずしく見えます。
一方、雨は降っていないけれど、適度な水分を保持していた野菜は収穫後、早くにしなびてきます。
雨が降っていなくとも土中に適度に水分があれば、必要な栄養を吸収することができています。
つまり、「みずみずしさ」や「しなびた」ものとは、野菜に含まれる水分量の差のことであって、栄養分の差ではないということです。
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<みずみずしさとは違う面で野菜の収穫を考える>
では野菜(植物)が栄養を作り出すしくみをみてみます。
中学校の理科を思い出してみてください。
①野菜は、二酸化炭素と水と太陽光を使って葉っぱで光合成をします。
②その時につくられる栄養分が炭水化物(糖+食物繊維)です。
③そして、光合成によってつくられた炭水化物と窒素によってタンパク質が作られます。
④光合成によってつくられた栄養分と根から吸われたミネラルとで生長していきます。ナスなどの果菜類の生殖生長もこのときにされます。
ここでなにが伝えたいかと言うと、
葉っぱで昼間の光合成によって糖を増やす。
果菜は、夜の間に実に栄養を貯える。
ということです。
<栄養を貯える部分と時間とを考えて収穫時間を変る>
ここまでの話しでお察しいただけたと思います。
トマトやナス、トウモロコシ、大豆など実をつける果菜類は、
夜のうちに栄養を貯えるので、収穫するなら栄養を十分に蓄えたあとの早朝、ということになります。
一方、葉菜類といわれる、法蓮草や白菜、キャベツ、水菜や小松菜など葉っぱを食用とするものは、光合成を終える夕方前の方が炭水化物の含有量が多いのです。
朝採れ野菜がよいと思われがちでしたが意外にも部位によって含まれる栄養分量が違うのです。
葉野菜ですと、糖をたくさん含む夕方前に収穫することがより甘い野菜でおいしいという結果になりそうですが、みずみずしさについてはどうでしょうか。
早朝に収穫するのと夕方に収穫するのとでは、早朝の方がみずみずしさがあるのは想像できると思います。夕方収穫の葉野菜は収穫した時からしなびた感じがあるけれど朝採れよりも甘みがある。
つまり、野菜を買う判断基準には、早朝収穫のみずみずしい野菜、というだけではありませんよ、ということです。
<すぐに実践!葉物野菜を調理する前に光合成させてあげる>
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では、糖を増やして甘い野菜を食べたいと思っている方はどうしたらよいでしょうか。
もちろん葉っぱを夕方に収穫している農家さんから買うことが一番ですが、なかなかいません。
ですのでご自宅で光合成をさせてあげたらよいのです。
光合成に必要なものは、太陽光と二酸化炭素と水です。
つまり、切り口を水に浸けてあげて、太陽のもとに数分おいておくことで糖を増加させることができるのです。
こうすることで甘みがました葉物野菜のできあがりです。
こだわり農家さんを探すより早く実践できる方法ではないでしょうか。
一つ気にしておいてほしいことは、
置きすぎると老化が進んでしまう、ということです。
葉っぱは、光合成をすると同時に呼吸もしています。収穫後の呼吸は鮮度が落ちる原因ですので、長く太陽にさらして鮮度を落とさないように気を付けてください。