野良では、なぜ無農薬栽培を選んだのか。

 

無農薬野菜に興味をもった理由は、「安心安全な野菜を求めて」という人が多いと思います。

農薬を直接飲み込むなんてことは誰もしませんが、農薬をいくら何千倍に薄めたとしても口に入らないように作業します。
もっと言えば、肌に触れることのないように手袋やマスク、だけでなくゴーグルをしても良いくらいです。

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僕がアフリカ・ウガンダにいたときは、
田舎の農家さんは、高いお金を出して手に入れた農薬を、安全に使用するための知識のないまま、素手でマスクもせず半袖シャツ、裸足で風の強い日に散布していました。
そんな光景をよく見たものでした。

農薬散布は、肌を露出しない格好で風のない日にするのが鉄則です。

こういった農薬使用時の注意事項を、村を巡回しているときに指導をしていました。

もともと危険だということを知らなかった人もいれば、危険なことは知っているけれど、手袋を買うお金がないなど金銭的な問題もありました。

そのような状態で最初に被害を受けるのは、子どもです。お手伝いをしている子どもなんかの手はボロボロです。

 

<現代社会への疑問から始まった>

 

大きなきっかけは東日本大震災での福島原発事故でした。
僕はこんなに危険なものに不信感も持たずに頼っていたのか、と絶望しました。むしろ頼っているという感覚さえもありませんでした。
チェルノブイリ原発事故や、チベット・ウイグルで行われている原子力実験による悲惨な状況は知っているのに、身近な日本での状況をまったく理解していなかったのです。

日本人は原子力発電に頼っています。みんな危険だとわかっていますが、政治的な理由、経済的な理由で原発に頼っています。直接的ではないにしろ日本人はみな頼ってしまっているのです。

けれどもし、頼らなくても大丈夫、とわかったら頼る必要はありませんよね。

 

<農薬に頼っていた農業>

 

原発の話と農業の話には共通点があると思っています。

もともと農業と農薬はセットに考えられていました。農薬なしでは野菜は育たない、と言われていたのです。農薬の危険性は表に出てきませんでした。
むしろ、虫食い野菜を嫌う消費者の要望に合わせて、農薬の使用は当たり前になっていきました。

消費者にとっては虫食い野菜が減ってうれしいし、
農家にとっても農薬散布で楽になる部分が出てきました。
お互いに表面上のメリットがあったのです。

 

その後、農薬の危険性が表に出てき始めました。
農薬によって河川は汚染され、土壌が死に、体内に取り込むことで蓄積されて子どもへ悪影響をつないでしまう。
そういったことが言われるようになったのです。

ですが、
相変わらず消費者は形のよい、虫のついていない野菜を求める。
だから農薬も以前のように使われる。

どこか原発問題と似ていませんか?

 

<変わっていく農業>

 

ここからは原発問題の一歩先をいく農業の話しです。

相変わらず農薬を使っている農業界だったのですが、危険性を理解した農薬研究者たちは、細かな規定を作っていったのです。

それは、
・危険性の高い農薬の使用禁止
・野菜ごとに農薬を指定
・野菜の成長過程に合った農薬の使用時期の指標づくり等

つまり、野菜を食卓で食べるときには、規定値以上の農薬が残らないように使用量や使用時期等を規定したのです。というより厳格化したのです。

こうして農薬の使用に関しての取り決めが進んでいきました。
注意していただきたいのは、「農薬が安全になった」というわけではないことです。危険とも言いません。
「今のところ、規定が守られていれば、危険状態は発見されていない」ということです。

 

<農薬を使わなくても野菜は育つという事実>

 

ここまでの話しは農薬がよい、悪い、とかの話しではなく、農薬を使うことが前提の野菜栽培の話しでした。

そんな中、脚光を浴びたのが、『奇跡のリンゴ』で有名な木村秋則さんです。

絶対不可能と言われたリンゴの無農薬栽培を成功させた人です。

もともと『リンゴが教えてくれたこと』という本を出していました。いわゆる自伝です。
その自伝やインタビューをもとにドラマ仕立てにして出版されたのが『奇跡のリンゴ』石川拓治 です。

その中で、無農薬リンゴ栽培に挑戦している間に、野菜でも無農薬栽培に挑戦していて、こちらも成功している、という内容が書かれています。

つまり、農薬なしでも野菜を育てることができるんだ、ということが分かったのです。

 

<勢いづいた無農薬栽培>

 

いろいろ調べていくと、もっと昔に無農薬栽培に成功している人もいました。
よくよく考えればそれもそのはず。農薬という技術ができる前は、無農薬だったのですから。

なんにせよ、この木村さんの登場によって無農薬栽培に脚光が浴びるようになりました。

農薬に頼らなくてもよいのならそれでいいじゃないか、と。

こうして日本中に無農薬野菜栽培を志す農家が増え、その野菜を求める消費者も増えていきました。

 

<まだまだ難しい無農薬栽培>

 

無農薬栽培を成功させている人はたくさんいます。けれど、それは全体からみたら1%にも満たない割合です。やっぱり難しいのです。そんなに簡単に無農薬で野菜を作ることができたらとっくに製薬会社は倒産しています。まだまだ日本の食をまかなうためには農薬は必要なようです。

けれど、農薬なしでも野菜が育つことがわかったことで明るい未来に現実味が帯びました。

 

今回はなぜ野良自然農園では無農薬栽培なのかについて原発問題と歴史的経緯を含めて簡単に書いてみました。
少しでも興味を持っていただけたらと思います。

 

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